ある雪山にはフローズヴィトニルと呼ばれる者がおりました




誰からも畏れられており




みなフローズヴィトニルを怒らせないように供物を捧げました




雪山に祀って、定期的に生贄を捧げました




それでもフローズヴィトニルは、突然大きな獣となって街を壊します




神の怒りだ、と人々は恐れ逃げまどいます




ひとしきり暴れるとおとなしくなり、フローズヴィトニルは再び雪山に返されます。

寒い



ここは寒い



何もない



与えられた服は一枚



ここは寒い



食べ物もない



たまに食べ物を運びに人が来る


罵声をあげながら

腐った動物の死骸を置いていく


仕方ないからそれを食べる


人が来ては


石を投げられる

死骸を食べる

寒さに震える

石を投げられる


わざわざこんな山奥まで
石を投げに来る


食べ物を持ってきてくれる





お母さんも死んでしまったから




ぼくはみんなに生かされている







石を投げられながら。
ヒュウウウ











ヒュウ








ヒュ








めずらしい


吹雪がやんだ
見慣れない子
彼も石を投げに来たのかな
「久し振り」
「そんなに簡単に解放させて上げ無いよ」
「忌々しい体。死ねば楽になるものを。無意識に生きようとする」



「へぇ、君はコドモに対する愛情って無いんだ」
「ふん」
「こっちも忘れないでよ」
「貴様は!」


「…俺様。おやすみ」
気がついたら、目の前に黒ずくめの男の人とさっきの子がまだ立っていた



「初めまして、ヤハク?」



黒い方が笑顔で言った。

こんな笑顔を向けられたのは久しぶりだ


「やはく?」

「君の名前だよ」
「君を迎えに来たよ、今日迄良く頑張ったね」

閉ジル

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